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寄稿集 月刊「B-maga」

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JSATの取り組み
JSATのパブリシティ
衛星通信によるガスパイプラインの遠隔監視とその意義
1.はじめに
2.SAOサービスの紹介
3.パイプライン監視システムへの利用
4.今後の可能性
1.はじめに
 石油・ガスパイプラインにおける、流量・圧力・温度・バルブの開閉状態などの遠隔監視・制御システムは、ガス漏洩等によるエネルギーの損失と環境汚染を回避するために必要不可欠なシステムとして広く普及してきている。
 従来これらのシステムは、地上専用回線、私設光ケーブル回線、多重無線回線などの通信媒体が利用されてきたが、遠隔地拠点の監視・制御、非常災害時の安全性、設置の柔軟性の観点から衛星通信回線の利用が優れており、既に実用化されている。
 一方、衛星通信回線を利用したシステムの導入はコスト面での負荷が大きく、必ずしも広く浸透していないのが実状である。
 本稿では、耐災害性に優れ、経済的にも安価な衛星通信を実現した「SAO」(サオ)サービスを利用したパイプライン監視システムのアプリケーション紹介と今後の可能性について説明する。
2.SAOサービスの紹介
写真1 SAOシステム
 SAOサービスとは、JSATが提供する定額制の常時接続型の双方向衛星通信サービスである(写真1,表1)。
 日本全国をカバーする通信衛星(JCSAT-1B)を利用し、拠点間のデータ通信(SAOデータサービス)及び音声通信(SAO音声サービス)を行うもので、遠隔地にある拠点やプラント設備の画像やセンサによる監視、リモートセンタからの遠隔制御などに利用することが可能である。また、地上の回線を一切経由しない衛星回線によるネットワークであるため、山間部や離島などの僻地におけるネットワーク構築や大規模な地上災害時にも寸断されることがないことから、パイプライン監視システム用の回線として利用することも可能である。
 SAOサービスの月額料金は、予め衛星上に割り当てた一定の帯域の伝送路(衛星回線)を複数の端末で共有することによって運用コストの低廉化を実現したものである(月額29,500円/端末〜)。
 その他の特徴として、SAOサービスでは、あらかじめ登録された相手のみ通信できる接続形態を採用しているため、重要なデータ通信を行っている企業内ネットワークにおいて、ネットワークレベルで極めて高いセキュリティを実現。また、イーサネットポートやシリアルポートなど複数のインタフェースを搭載しており、TCP/IP、X.25、SDLC、Asyncなどの通信プロトコルで各種ネットワーク機器と接続することができる。
 表1 システム仕様
■アンテナ、屋外機器(ODU)
アンテナサイズ 75cm(標準タイプ)、96cm
運用可能風速 20m/s以下
破壊風速 55m/s以上
LNB 標準TVRO
HPC 1W
動作温度/湿度 -40度〜+60度/最高100%
■屋内機器(IDU)
通信速度 最大153.6Kbps(回線の状況により変化、速度保証なし)
標準インターフェース シリアル:RS-232C × 2
イーサネット:10Base-T × 1
オプションポート 4シリアルポート拡張カード
ボイスカード
USB接続カード
動作電圧 AC100V〜240V (DC電源OPTIONあり)
消費電力 50W以下
寸法 6cm (高さ) × 40cm (幅) × 34cm (奥行)
重さ 3.9kg
動作温度 -10度〜+60度
3.パイプライン監視システムへの利用
ここでは、SAOサービスの特徴を活かした例としてパイプラインの遠隔監視・制御システムへの適用メリットについて紹介する。
(1)ガスパイプライン遠隔監視・制御システムの通信手段
 パイプラインの遠隔監視・制御システムは業務効率面、保安面、特に流量や圧力に異常があった場合の迅速な対応手段として広く普及している。
 これらのシステムにおける通信手段としては、地上専用回線、多重無線回線、PHS、私設光ケーブル回線が従来利用されていたが、地上災害時の通信手段としての信頼性から衛星回線の優位性が認められている。(図1)
 その一方で、これまでは衛星回線は導入時コスト及び月額運用コストが高額である事が導入にあたってのハードルとされてきた。(表2)
図1 ガスパイプライン遠隔監視・制御
表2 通信媒体のコストおよび特性比較
  地上
専用回線
私設
光ケーブル
多重無線 PHS 衛星回線
(従来)
初期コスト × × ×
月額回線費用 ×
運用コスト × ×
免許 不要 不要 不要
耐災害性 × ×
セキュリティ
(2)SAOサービスの適用
 SAOサービスをガスパイプライン遠隔監視・制御システムの通信手段として適用するメリットとして、SAOサービスは従来の衛星通信システムに比べて端末の価格が安価である事から、他の通信回線を選択した場合と比較しても初期コストの差はあまり生じない。
 また、従来の衛星通信システムは無線局免許の取得や無線従事者による運用が必要であったが、SAOサービスは技術基準適合証明を受けた機器を使用しているため、無線局免許の取得や無線従事者による運用の必要がなく、専門的な知識やノウハウがなくても手軽に利用する事が出来る。
 SAOサービスで提供する回線は複数のユーザが一定の帯域に混在する帯域共用型となっているが、混雑時においても平均20〜30Kbpsの回線速度が確保出来るため、ガスパイプラインの遠隔監視・制御システムへの適用において問題はないと考えられる。(図2)
 以上のことから、耐災害性に優れ、価格面、制度面においても従来の衛星システムのデメリットが改善されているSAOサービスは、パイプライン遠隔・監視システムの回線として最も有効な手段の1つと考えられる。
図2 システム概要(SAOデータサービス : 28bitmaskのプライベートネットワークを提供)
4.今後の可能性
 昨今、東海地震・東南海・南海地震への防災対策強化が各方面において急速に図られている。特にガス・電力・水道といったライフライン確保のための防災対策は今後ますます強化されていくものと推測される。
 こうした状況の中で、企業内の重要な基幹ネットワークにおいて現用回線やバックアップ回線としての衛星回線の利用がこれまで以上に着目されてきており、ガスパイプライン遠隔監視・制御システムへの導入も今後増えていくものと期待される。
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