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東京に本社のあるA株式会社(A会社)は、北海道にある無人の施設に装置を納入した。A会社は納入した装置の保守・メンテナンスのために本社とその施設をアナログの電話回線で結び、アラーム監視を行うこととした。アラームが鳴ると、そのたびに東京から北海道の施設に片道6時間をかけ社員を派遣するということを続けていたが、現地に行ってみると、社員を派遣するまでもない、リモートで対応可能な内容のアラームも含まれていたのである。
上記は1つの想定事例ではあるが、もし監視内容をアラームの監視のみではなく、画像・映像による監視を取り入れていれば、どのような結果になっていたであろうか。アラームの内容を現地に行き確認するのではなく、リモートで画像・映像を見ることによってある程度アラームの内容を把握する。そうすることで社員を派遣する回数は減少し、効率も向上、またコストダウンにもなったのではないだろうか。
本稿では、画像・映像による監視も含めた遠隔監視を、通信回線として耐災害性に優れ、場所も選ばず、またセキュリティも万全の安価な衛星通信「SAO」(サオ)サービスを利用するアプリケーションを提案し、また今後の展開について説明する。 |
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| 写真1 SAOシステム |
SAOサービスはJSATが提供する定額制の常時接続型の双方向衛星通信サービスである(写真1、表1)。
日本全国をカバーする通信衛星(JCSAT-1B)を利用し、拠点間のデータ通信(SAOデータサービス)および音声通信(SAO音声サービス)を行うことが可能である。また地上回線を一切経由しないネットワークであるため、地上で大規模な災害がおきても回線が寸断されることがなく、耐災害性に優れている。セキュリティについても、地上の公共のネットワークを利用せず、また衛星回線上においても、あらかじめ登録された相手のみ通信できる接続形態を採用しているため、ネットワークレベルで極めて高いセキュリティを実現している。価格においても従来の衛星回線とは異なり、衛星上に割り当てた一定の帯域の伝送路(衛星回線)を複数のユーザーで共有することによって運用コストを低廉化し、月額の利用料金を安価な定額料金としている(月額29,500円/端末〜)。端末にはイーサネットポートやシリアルポートなど複数のインターフェイスを搭載しており、TCP/IP、X.25、SDLC、Asyncなどの通信プロトコルで各種ネットワーク機器と接続することができるので、衛星通信であることを意識せず、普段使い慣れている地上回線と同じ感覚で通信が可能である。
以上のように、SAOサービスは日本中どんな場所でも通信回線を確保でき、耐災害性に優れ、セキュリティも万全で、コスト面においても導入しやすい通信回線である。 |
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表1 システム仕様
| ■アンテナ、屋外機器(ODU) |
| アンテナサイズ |
75cm(標準タイプ)、96cm |
| 運用可能風速 |
20m/s以下 |
| 破壊風速 |
55m/s以上 |
| LNB |
標準TVRO |
| HPC |
1W |
| 動作温度/湿度 |
-40度〜+60度/最高100% |
| ■屋内機器(IDU) |
| 通信速度 |
最大153.6Kbps(回線の状況により変化、速度保証なし) |
| 標準インターフェース |
シリアル:RS-232C × 2
イーサネット:10Base-T × 1 |
| オプションポート |
4シリアルポート拡張カード
ボイスカード
USB接続カード |
| 動作電圧 |
AC100V〜240V (DC電源OPTIONあり) |
| 消費電力 |
50W以下 |
| 寸法 |
6cm (高さ) × 40cm (幅) ×
34cm (奥行) |
| 重さ |
3.9kg |
| 動作温度 |
-10度〜+60度 |
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ここでは、前章で紹介したSAOサービスによる画像データを利用した遠隔監視システムを紹介する。
まず、システム構成図を図1に示す。SAOサービスを利用するためにはパラボラアンテナとODUと呼ばれる屋外装置、IDUと呼ばれる屋内装置をセットで設置する必要がある。このセットを対向で設置することにより、双方向の衛星通信が利用できる。また監視センターで複数の拠点を監視する場合でも、監視センターは1セット設置するだけでよい。
これまでに紹介した機器は通信を確保するために必要な機器であるが、本システムで最も主要な機器の一つはカメラサーバである。カメラサーバには様々な種類があるが、基本的な機能はカメラから得られる映像信号を静止画または動画圧縮し、監視センターへ送るというものである。SAOサービスのようなナローバンドな回線でも、MPEG4、H.264などの高圧縮技術を採用したカメラサーバを用いることにより、品質のよい映像をリアルタイムで送ることができる。
次に、以上のようなカメラサーバを用い、SAOで実際にどのように監視を行うかを、地上の通信インフラのない山間部の貯水池を例に紹介させて頂く。24時間365日、モニターの前に人が張り付き監視をするということはまず考えられない。基本的には、スケジュールに基づく監視、アラームを検知した時に画像、映像による監視を行うと考えられる。 |
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| 図1 システム構成図 |
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(1)水位監視
水位監視に、画像データを利用している。水位をリアルタイムで数値として監視はしているが、やはり目視による監視を行いたいという。そこで、カメラサーバに取り込まれた映像を定期的に数十KBのJPEGファイルに圧縮し、そのファイルをメールを利用してセンターに送る。こうすることで、目視による監視をほぼリアルタイムで行っている。水位というものは即座に変化するものではないので、動画よりも静止画が適しているのである。 |
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| 図2 水位監視 |
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(2)不審者の侵入の監視
水位測定を行っている現場は無人の施設である。その場所への不審者の侵入も映像データを利用し監視が行われている。最近のカメラサーバにはモーションディテクション機能が標準で搭載されているものが多い。モーションディテクション機能とは、映像のある部分に動きがあった場合それを検知する機能である。この機能を用い、不審者が侵入した時には監視センターにアラームを送る。アラームを受けた監視センターではリアルタイムに現場の映像を確認し、カメラの方向やズームなどを遠隔で制御し、実際に不審者が侵入したのかどうかの判断をするのである。また、自動で動きのある方向に向くようなカメラを使い、その映像をカメラサーバ内で一度きれいな動画としてファイル化し、その後ファイル化された動画をFTPなどを用いて監視センターに送るという機能のあるカメラサーバも存在する。その場合、多少リアルタイム性は失われるが不審者の顔なども特定することができ、またファイルとして保存されるため、以後の検証としても利用することができる。 |
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| 図3 不審者の侵入の監視 |
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(3)水門などの遠隔制御
無人の施設に対して、大切な制御を遠隔で行うことはあまりない。しかし、目視と同じような状況を画像データを利用することにより構築した場合は、多少の制御は行えるのではないかと考える。装置に対して設定変更などのコマンドを送り、実際に設定が変更されたかどうかを、静止画を用いて確認する。また、設定変更時の装置の動作などはリアルタイムに現場映像を見ることで確認する。このような監視を行うことで、設定変更時に社員を派遣する回数をできるだけ減らすことができコストダウンが図れ、また緊急を要する設定変更も可能になるのである。大切な制御であるので、通信回線としてはセキュリティの万全なSAOサービスが最適なのである。 |
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| 図4 水門の遠隔制御 |
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(4)非常災害時に監視センターより指示
SAOサービスは前述したように音声サービスメニューがある。いわゆる非常用電話である。非常災害時、監視サイトに特殊な技術を持つ社員を派遣し測定機器などを復旧させる必要がある場合が想定されるが、非常時に技術者がすぐに駆けつけることができるかどうかは難しいところである。しかし、SAOサービスを利用し電話と画像データを組み合わせることで、この問題は解決する。現場にはとにかく近くの人が駆けつけ、監視センターでは技術者がリアルタイムに現場状況を映像として確認し、的確な指示を現場の人に対して出す。特殊な技術者を現場に派遣せずに、早急に機器を復旧させることができるのである。 |
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| 図5 非常災害時に監視センターより指示 |
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以上紹介させて頂いた遠隔監視を、SAOサービスによる衛星通信を用いて行うことを本稿では提案する。特に地上の通信網のない地域、監視データを公衆網に流したくない、災害時でも絶対に監視・制御する必要がある、このような場合はSAOサービスを是非推奨したい。SAOサービスは遠隔監視に最適な通信回線の一つなのである。
日本企業の工場が中国や韓国、東南アジアに進出するということは、昨今では珍しいことではない。また海外に装置を納入する企業も今後ますます増えていくだろう。すなわち遠隔監視をする対象が海外になるのである。海外に地上の専用線を引くのはコストの面で難しいと思われる。また、IP-VPNなどを利用しても回線品質に問題が出てくる可能性がある。こうした状況の中で、海外を対象とする遠隔監視には衛星通信が注目され始めている。海外の多拠点の一括監視では衛星通信のメリットを十分活用できる。今後は、国内だけでなく海外においても、衛星通信による遠隔監視の導入が増えていくものと期待される。 |
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